神亀と云う酒

先日、
【神亀】と云う酒の勉強会を
じねんぼうで開いた

企画は<池田酒店>である

旨い純米酒を世に広めるため、精力的に行動且つ、知識を持って動いている



さて、
数ヶ月前からこの会を開催するに当って
献立を立てなければならんのだが、

先ずは酒を味わなければならぬ。
元々数種類は飲んで、店にも常備してあるのだが
如何せん、種類が多く
しかも、世に出回らないプレミアム酒も当日は出て来るとの事...

神亀を代表する酒を7本。
試飲し、味わい、考える...

常温で
試飲し、味わい、考える...

燗の温度を変えて
試飲し、味わい、考える...

を数日繰り返す



こんなコトは今までになかったことだ
何度も味を見て考えることなど、必要なかった

一言で云うと、神亀と云う酒は
芯がビシッと通っていて、ブレない酒

しかも、その芯がとても幅広い

ぴったり合う料理を探す

ってなコトは必要無いようだ

だが、それではなんの面白味も無い会になってしまうので
ボクなりの料理、その表現と問い掛け
それをぶつけてみるコトとした


献立である













カメラを構える事が出来、撮る事が出来たのはこの数枚の写真だけだ

昼の部と、夜の部のダブルヘッダーに煽られたからだが
自分の料理も満足に残す事も出来なかったのは残念である

献立表を見れば思い起こす事は可能であるが
お客さんにどれだけ沁み入ったか?
と、云うと
味の記憶と云うものは儚いものである...



一枚目の写真の方が、神亀の専務

予め送っていた献立表を見て酒を選び、

当日、店を見てあてがう酒を変更し、

種と燗の温度を決定した。


へそ曲がりが作った献立は、味を見なければ答えは出ぬだろうと
料理を供する前に食べてもらう

そしてまた酒選びが変わる

この会での、この献立はこの行為が無いと活きぬ

この、酒と酒に携わる事柄を知りぬいている人物が居ぬと始まらぬ。


傍で、

何をも見逃すまい
何をも聞き漏らすまい

と、
一挙一動をガン見する男は、じねんの燗番である我妻。

何を感じて、何を得たのか




2枚目3枚目の写真はチロリと云う、燗をつける道具
錫製で、熱伝導率が良く味がまろやかになる


4枚目、
一体どれだけの種類が来たのか、思いだせぬほどの神亀と
牡蠣の柚子味噌焼き


5枚目、
昭和54-58年からの古酒、本醸造と純米の3種

62年以降からか、全量純米となった

ふむ。
この料理は、この酒に...


6枚目、
前菜五点盛り

鮪、皮と筋の煮凍り 温度玉子、蕎麦カエシ・干し海苔炙り

神亀酒粕の甘酒、黄身酢・紅葉麩

落花生豆腐 筋子西京漬け


7枚目、
お造り三点盛り

鯛の昆布〆
ひがしもの鮪
金華鯖酢〆炙り



ひとつ、頼み事をした

料理に合わせた酒を出す前に飲ませてもらうコト

出来上がった料理を味見し、それに合わせた酒を味わってみる

うむ。
どれも繊細なところで良く合わせている
絶妙の燗加減...

一つの皿に盛られた一つ一つの料理に
豊富な酒を其々あてがってくる

こんなコトは今までに経験したことが無い
全てにクロスカウンターをくらっているようだ


プライベートで酒を飲む時
この様な狸親爺に燗番してもらいたい

・・・とても贅沢な事だから、叶わぬ事だろうけど・・・



献立で
強肴の皿は、あるところで統一性を持たせてみた

前菜の皿は、二種の統一感がありながら
全て異なる



ボクの、今回考えた献立は

神亀と云う酒に負けぬ力強さと
神亀と云う酒より強くない料理である

表現力が足らず、矛盾しているようだが
要するに

見合う料理と酒

突出せず、劣らず

である。

実際、両方味わいながら仕事をしていると
なんとも絶妙のバランスを体験する

良かった





ある人は
「仕事は楽しんでやるものだ」
と云うが、
ボクはそうできない。

仕事中は真剣勝負
一片も間違いは落とせない。

そんな中、楽しんでなんていられん

終わって、ホッとした時に思い起こしてニヤケたりはするが、
それとて、理想の仕事ができた時の
ほんの僅かなモン

今回も良い真剣勝負ができました

勝負とは言葉だが、自分の中だけのコト...

根と結果は融合にあるのみ。


器の大きい男に触れて思うに、

ボクはまだまだ修行が足らんようであるからにして
これからもより多く遊び、仕事に精を出さねばならぬ。


果たして
ボクの中で懸念していた
行く先の方向性
ってのが見えてきたようだ...