五寸ナイフ

小学校時分に肥後守(ひごのかみ)という激安のカスタムナイフを
ほとんどの男子が持ち歩いていた

コレがないと遊びにならなかったのである
確か、一本50円
ノコギリ付きので150円だった記憶がある

当時の一日のお小遣いは10円だったか...

鉛筆を削るにも、工作の時間にも
山学校なる 外遊びにも絶対欠かせぬアイテムだった

使用頻度が高いため、頻繁に研がねばならないのだが
家の砥石を使うと、砥石が変形するからと叱られ
河原で自然砥石を探してきて研いだものだった

5年生の時、大工の棟梁から五寸釘をもらい
オリジナルのナイフを作った

風呂の焚き付け口の中に五寸釘を放り込み
赤くなったのをやっとこで取り出し、掴み
拾って来た電車のレールの半端を打ちつけ台にして
トンカチでガンガン叩く

勉強のできない子であったが
何故かこんな知識はあったのだ

火をいじるとネションベンたれっぞ!

叔母の云う、そんなジンクスに打ち勝つべく
悪夢を振り払うかのように打ち続けた

釘の先端が平たくなると何とか刃物らしくなる
それを研ぎ始める

小学5年生であるからして、たいした研ぎはできなかっただろうが
それでも切れ味は良かった

ナイフとして
手裏剣として
(あぶねー小5だなや〜)
常にポッケに忍ばせてあったのだ

お袋から
こりゃ〜!おめぇ、またポッケに穴開けてぇ
なに突っ込んで歩いてんだっコノー!
と叱られ

木の枝の輪切りに溝をつけた鞘を作るになった


そんな昔を懐かしく思い出し
また作ってみた
じつに30年以上ぶりだ


刃渡り12mm
長寸五寸
他に類を見ない形状だ
云えば手術用のメスか?


刃渡りが短いので、ナイフとしての機能は悪いが
釣魚を〆る時、鰓の内部に刺さりやすく
〆のナイフとしては結構使えそうだ

如何せん、軟鉄なのですぐ切れ味が落ち、錆びやすい
反面、研げばすぐ刃が付く

いまさらながらだが
小学5年でこんなのを作っていたとは、末恐ろしいガキンチョである

ま、
末はでんでん恐ろしくもなんともない
ただのおっちゃんになったのだが...