死と生
こんな大きく、太い樹が
生前の逞しさを物語るような年輪が
何者をも受け入れ
何者からも己を守り抜き
気の遠くなる様な年月を繰り返し
存在を誇示してきた 太い樹が
拉がれ、崩れ落ち
流され、揉まれ
ここにいる
この姿は
圧倒的な死を
ボクに見せつける
大岩の裂け目に 芽を出して
ひたむきに生きていると、ボクの目に映るこの幼き木は
もはや、芽ではなく、
木であるように感じる
裂け目に僅かに溜まった土を
生きる糧とし
これから先、何年 年輪を作ってゆくのだろう
すぐに枯れ果ててしまうか
もしくは、その根が
岩をも砕き、養分とし
巨木に至るのか
両者とも
同じ流れの中にいる その光景に
ボクは只々圧倒されつつ、立ち尽くす