市場での休息
マグロ屋は大忙しである
朝の3時から毎日仕事に追われている
天井の高い市場内は 薄暗いけれども
この人達の活気のある声と 食の材料の息づかいが溢れている
私は毎日
このマグロ屋の
お湯の沸く、でかいヤカンの乗る七輪の傍の 椅子に座る
朝から深夜まで働き詰めだが
ここに居る2時間が、唯一の休憩時間であるのだ
マグロ屋には 様々な人達が来る
鮨屋
料理屋
魚屋
行商
観光客
パン屋
牛乳屋
出前
おっちゃん おばちゃん
買い物客
宅急便屋...etc...
あまりにも忙しくなると、手伝い始める
いつの間にか
マグロ屋のおっちゃん
になっている
綺麗なオネイサンには、値引きする
なんで2時間も待つかというと
おろしたてのマグロの骨を待っているからである
赤身の中では、一番美味い部位
中落ち
を、一番新鮮な状態で買う為だ
もちろん、すでに朝おろしたのがあればそれにするのだが
力のある魚体は
売れ残っても、次の日でもいけるように、後からおろす
マグロ屋も承知していて
今、イイのおろすから 待っててけらいん
と、言ってくれる
が、その間 マグロ屋は飯を喰ったり、一服したりで
なかなかおろしてはくれない
私も一緒に、淹れたてのコーヒーを啜る
何杯も オカワリ して市場の時間を楽しむのだ