分田上



高校に入ったかどうかの頃であった...

TVドラマで<前略、おふくろ様>という

料亭で働く職人の映像があった



ボクは、中学の時から庖丁を持ち

釣り上げた獲物の魚を自宅で調理していた

と、云う事もあって、
わりと入り易くこのドラマに溶け込んで行った

思えば
その時から、板前になろう
と、将来の職業選択肢の中の一つに
心が動いていたのかもしれない




一作目のドラマでは<分田上>という料亭が舞台となってい、
その店裏の、小川に架けた橋の上で
ショーケンや、小松の親分さん、かわたにたくぞーが
世間話や悩み事、夢などを描きながら
桃井かおり扮する海ちゃんに掻き回されつつ


里芋の皮を剥いていた...


あまりドラマに関心など無かったのだが
この物語には徐々にのめり込んでゆき

板前という仕事に憧れていったのかもしれない


山形から出てきた、板前役のショーケンにも
元ヤクザであった、板長の梅宮辰夫にも
小松の親分さんにも

コレと云って憧れは無かった

ボクが憧れていたというか、とても気になっていたのは

ワケタガミ

と、いう
店の存在であったに思える


分田上 と云うくらいだから
きっと、「田上」という料亭の暖簾分けかナニかと思っていたが
続作の<前略、おふくろ様Ⅱ>で
料亭「川波」が舞台となるのだが
其処からの暖簾分けで

分けた→分け田
商売が上を向く様にと、上 を付け
分田上 と、なったらしい...


何故かボクは
そんな背景の事柄にも
グッ
と、きてしまうのだ...


分田上で働き、
裏の小川の小さな橋の上で
里芋を剥きたい...

剥きたいのだ。