ありがとう
じねんぼうと名乗った料理屋
それが今終わりました
今までの御愛顧、ありがとうございました。
これから新店舗を立ち上げます
精一杯 美味しい料理を作り、
心より 接客いたしますので
変わらぬ御愛顧 よろしくお願いいたします
じねんぼうには並々ならぬ想い入れがありました
友人と二人で作った内装
ログハウスビルダーの友人が作ってくれた木のテーブル
女将の女将たる働きに助けられ
スタッフの頑張りと一緒に働き
お客さんに育てられ
師から激励を受け
弟子もできた
其れ全てがボクの料理に繋がっている
今、こうして営業を終え
弟子が鍋をピカピカに磨いているのを背で感じ、庖丁を研いでいると
色々な事柄が思い出される
今晩は二人で飲もうかとも思ったが
かなり疲れているようだったので、帰し
独りで庖丁を研ぎ続ける
ブルースが静かに流れる 誰も居ぬ店の厨房で
Tom Waits 以外の音と云えば
蛇口から流れる水の、砥石に当たる音と
厨房機器の低いうなり
砥石と庖丁が擦れる音に紛れ、記憶の中から分泌されるモノに
かなりしんみりさせられてしまう
庖丁は仕上げ砥を掛け過ぎると
鏡面に食材が吸い付きすぎるので
中砥石の後に少しだけ仕上げ砥で...
ほんの少しの時間
庖丁を休ませ
また活躍してもらう
また活躍する
と云えば
じねんぼうもまた 復活する
いつの日か...
ボクの勤めてきた店は、ほとんどがその姿を消している
とても悲しいコトである
お客さんの為
働いてきてくれたスタッフの為
近い将来 復活させる
それは
Kuccina スタッフ全員での公約である
きっと。