極太わらび
新庄の友人から
毎年数度に分けて送られてくる蕨
朝露を受けて
一気に伸びた極上ものである
いつも、収穫に適した前の日に電話が鳴る
明日ヒマ?
イイアンベになったど
なぬ?来れねぇ?
んで、しがだねぇ、おぐってやっから
行ける時は行くのだが
なにしろ、収穫量が多い
あまり採り過ぎても持て余してしまうのである
行けば、
衣装ケースにめい一杯二つ分採れる
友人の親父さんも一緒に採る
親父さんは山菜採りの名人で
顔を合わすなり
ホレ!
と、梱包用の平紐で編んだ
カラフルな手提げ籠をボクに渡す
はけご
という、その手編みの籠は
藁や葡萄、藤蔓で編んでいるが
軽さと丈夫さ、
通気性はもちろんのこと
なんと云っても水に濡れても型崩れせず、重くならないのがイイ
コレに一杯になったらザックに移し替える
幼木の杉の下に
朝露を吸って、勢い良く伸びたワラビを摘んでいると
親父さんが来て
上がら、一尺だけ折らいん
ヱ?
でも、下の方も柔らかいですよ?
ヱヱがら、一尺だげもがいん
せっかぐ喰うんだがら
やわけぇどごだげ 持って行げ
なるほど、「はけご」の幅は、
ちょうど30cmに作ってある
一時間ちょっとでこれだけの量が採れると
後は温泉に入ったり
縁側で、初夏の風を受けつつ
漬物とワラビの一本漬けをポリポリし
湧水で淹れたお茶を飲み
落ち着いた午後を楽しむのが山形風である
お礼の電話をすると
んでわ、梅雨の晴れ間にございん
がっつりぶっとくてイイのがおがってっから
さて、
物々交換で要求された
竹徳利を作らねばならない
明日は竹を切り出しに行くとするか...