なめた鰈を考える


仙台では、年越しに

<子持ちナメタ鰈の煮付け>

を食す風習がある

何故に?

年越しと云えば、<蕎麦>である

ソコを鰈の煮付けとは、不思議なり...


なぜだろう
なぜかしら...


きっとこのカレイは
カレイの中で、一番泳がないカレイかもしれない

なにせ、岩の隙間に引っ込んで
ウツボの様に、目の前を通り過ぎる餌を食している

そんなイメージだ

実際、釣りに行くと
岩場で釣れることが多い

水槽で泳いでるのを観察すると
ガラス面に、全身を吸盤の様にして垂直に張り付いている

岩場でもそんな態勢でいるのだろう
赤黒い色や、こげ茶、黒等のまだら模様はカモフラージュであろうし

身はぶ厚く、柔らか。
しかし、
身体は柔軟で
釣り上げると
揚げ出汁豆腐の上に乗っている鰹節の様に丸まってしまう

ヌメリも尋常ではないほど多く
釣り船に備え付けてあるバケツに入れると
自分で出したヌメリで、窒息死するのではないか
と、思えるほど...


そんなカレイだが
子持ちのを煮付けにすると
すこぶる美味い


尾鰭寸前まで、みっちり卵を抱いて

身は柔らかく、ホロホロと崩れてゆき

口の中でとろける。

縁側も厚く、脂が乗り

ちゅーちゅー云いながら、骨から吸い上げると

それはそれは至福の一時を過ごせるのである