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自宅に...
となり近所から<第7サティアン>と呼ばれている燻製器がある
衣装ケースを利用した冷燻専用の燻製器だ。
ホントに燻製器なのか?
なにか、ヤバイモノつくってんぢゃねの?
と、思われるのもイヤなので
あえて写真は公開しない...
その全貌は闇に隠れているのだ
しかし、興味がある方もおられると思うので
文字だけで説明するコトとスル。
庭に置かれた一斗缶の中には
桜のチップがある。
炎の出ない、いわゆる線香を太くしたような
煙だけを出す、桜のおが屑を圧縮したチップだ
それが
ジワリ...
と、
煙を出している
一斗缶の上蓋には穴が開けられ、
アルミの蛇腹ホースの太いのが接続してある
そのホースの先に
一段高いテーブルの上、衣装ケースが備え付けられてい、
中には保冷剤と、バーベキューの網が中段にあり、
その上には1週間かけて下味を付けられた
キングサーモンが半身になり横たわっていた
一斗缶から発せられた煙は
アルミの蛇腹を通る際、急冷されて移動してゆく
2月...仙台である。
冷気が落ちてきた夜半、
その冷却度数は凄まじい限りだ
衣装ケース内の温度は
外気温と全く同じになる
マイナス3℃...
煙が纏わり付く
それには、煙が常に流動していなければならない
衣装ケースの蓋に開けられた
直径2㎝ほどの穴が
それだけで煙を動かしている
キングサーモンのサーモンピンクは
徐々に
徐々に、燻煙の粒子によって
艶を出しながら、くすんでゆく
いや、
きっとそうに違いない
衣装ケースの内部は
煙に包まれ、何一つ確認はできぬからして...
故に、コレを眺めていてもアホくさいので
とっとと家の中、
ストーブの前で、くだらぬテレビを見て過ごす
ラーメンを夜食に作ったりもする
腹がクチクなると
居眠りなどもする
火を扱っているのに、こんなコトではイケナイのだが
なにせ、5時間もの長丁場だ
眠気を覚ますために
風呂にも入ったりもする
が、
かえって、気持ち良く也にけり...
居眠りをする
椅子からズリ落ち、我に帰る
うぬぬ...
時計は あと2時間と表示していた
うぬぬ...
火種を確認すると
またもや冷気で目が覚める
そそくさとストーブの前に戻り
携帯電話をいぢりタオス
市場にメイルを送る
明日の、
いや、
今日のセリ状況を聞くが
魚屋はアレだ
メイルを見るコトは出来るが、送るコトはできない
すぐ、睡魔が襲ってくるので
たまらず、
寝た...
ちょうど2時間後
魚屋からの電話が枕元で鳴り響く
いい迷惑だ
しかし、今日はいいタイミングになる
桜のチップは燃え尽きて
衣装ケース内の煙も薄くなっていた
出来上がりである。
Smoked salmon