無花果
今回は地物の少し硬めの無花果を使った。
通常和食では【蜜煮】なのだが
今日は赤ワインで焚いてみた。
赤ワインとグラニュー糖、蜂蜜でじっくり煮上げる
甘さを抑え、本来の味を表に出すように...
冷やしたら、煮汁にレモンで少し酸味をつけ
ゼラチンでユルユルに固め、ジュレを作り
イチジクにかけて供する。
サービスデザートだ。
栗の時期でもあるので【栗の渋皮煮】にしようか悩んだが、
忙しさにかまけて簡単な方をとってしまった。
無花果といえば、ガキの頃
よく、近所の塀にのぼり盗んで喰った。
捥ぎ取ると切り口から白い樹液が出てきて
シャツに付き、よく叔母に叱られたものだった。
この樹液は、洗濯してもナカナカおちないのである。
収穫は朝一番がよろしかった。
放課後ではヒヨドリに先を越される。
熟して開いたものが、一番美味い。
アリンコや蜂と格闘しながら勝ち取ったイチジクも美味いが
さすがにヒヨドリの残し物は喰えない。
塀に登るのには理由があった。
木に登ると折れてしまう率が高いからだ。
カミキリムシが木の中に巣食っているので、
そこに体重をかけてしまうと簡単に折れてしまう。
低木なので、落ちてもひどい怪我にはならないのだが、
持主にこっぴどく叱られる。
薄皮を歯でしごきながら喰う、戦利品の味は格別だった。
ガキの頃は叔母が煮る甘すぎる甘露煮は嫌いだったが、
今となっては好物になっている。