まる


まる
鼈(すっぽん)のことを和食料理では まる と呼ぶ
単に丸い形をしているからだが
丸鍋 とか 丸吸 と使う

普通の亀と違い 甲羅の周りが柔らかい
捌く時は 先ず首を刎ねるのだが
逆さまにしないと首を出してくれない
特有の柔軟で長い首をうまく使い
元に戻ろうとする
その伸びきったところを掴み
首の付け根に庖丁を入れる
身体を縦にし、血を焼酎等で割る
色々試してみたが、焼酎が色鮮やかで、凝固もしない

以前勤めていた大きな たな では
毎日のように捌いていたが
魚と違って 四つ足 はやはり気が引ける
しかも生きているやつの首を刎ねるのはなんとも...

食べては、生き血以外すべて美味い
生き血を飲むのは 儀式 のようなもんだ
吸い物

唐揚げ
刺身
雑炊
鍋では 皮のゼラチン質の食感と
肉質の旨味とが相まってとろけてゆく
後の雑炊は濃厚な奥行きのある出汁が
湯で洗ったご飯の一粒一粒に染み渡り
浅月葱を薬味に 卵で半熟にとじ
一回りポン酢を効かせると これはもう言うことナシの逸品である

予約ですっぽん料理が入り、供したのだが
店が混み合い、あまりの忙しさに写真が撮れなかった

久しく食していないが、いつか喰ってやろう