新作シフォンケーキ

アサヒビール から提案があった
このリキュール、使ってみてくれませんか?
と、紅茶のリキュールを持ってきた

フンッ。私の性格を知っての営業だ
こんな素材があるけど、料理に上手く使える?
という挑戦には 片手だけで対戦してやる

しかし、この営業マン ナカナカのやり手だ
しかたがないので相手をしてやる
持ち込んだ素材はダージリンのリキュール

フォション ティーリキュール

フォションが厳選したダージリン茶葉を輸入し、日本で作っているという

舐めてみると、リキュール特有の甘みがある
が、際立っているのは香りと、紅茶の濃厚な味と心地良い渋み
かなり凝縮してある
俗にあるエッセンスではない 味と香りだ
牛乳で割ると結構イケル

さて、すぐ思いついたのは シフォンケーキだ
今までは、濃いロイヤルミルクティーを淹れて使用していた

シフォンの持ち味は、なんといってもあの フワフワ だ
儚い菓子にアルコールが入ると、ことさらに儚く感じる
フムフム...ソースはどうする
ダージリンに合うのは、やはり 檸檬 だろう
レモンを...
少し苦味を出そう
カラメルの薄めの苦味が合いそうだ

グラニュー糖を鍋で薄く焦がす
かといって、再結晶化させずに、焦がさず
レモンのスライスを投入
よしよし、いい感じ
これをガムシロップで薄め一体化させ
隠し味に フォション を少し...

焼き上がったシフォンは
紅茶とリキュールの甘い香りを 控えめに放っている
とても良い香りだ

逆さにして冷ましたのを切り分ける
甘さを控えめにしたホイップクリームを添える
檸檬ソースをかけ
フォションを垂らす

見た目はイイ
味はどうだろう?

…試作品にして完成だ…
まさに大人の焼き菓子


口に含むと、リキュールの甘い香りと
それにそぐわない控えめな甘さ
紅茶の、ダージリンの気品がある 高い香りと渋み
生クリームの泡だった滑らかさが相乗し
シフォン独特の口溶けが口腔に広がり、そして消えてゆく

本来鮮烈な香りと酸味の檸檬は
焦がしかけた糖で勢いが削がれ
引き立て役に徹する
それでいて、押し潰される前の 紅茶に浮かんでいる
あの 不動の位置を保っている

均整のとれた美味い菓子ができた