天然
そんな言葉が 食の世界を大股で歩き出したのは
いつの頃からだったろう...
天然モノが希少品として扱われ始めたのは
いつの頃からだろう...
今年は春がやってくるのが早かった
世間では暖かい日が続くので
山菜も早いと思っている
確かに例年よりは早い芽吹きだろうが
自然のサイクルは、思ったより早くはなく
それなりのリズムで滞りなく潤滑している
「タラの芽の天ぷらが食べたい」
そんな要望に答えるべく
ボクは山へと釣りをしがてら 足繁く通い
山菜を摘んでくるのだが
「春だからもっと早く」との声に
タラの木を切り落としてきたのを、ビニールハウス内で挿し木し
ムリクソ芽を出させた
栽培モノを取り扱ってみたりもする
しかし、これは大失態である
大失敗ではなく、失態である
春の息吹も、山の香りも
植物が持っている生命感もありゃしないのだ
自分の中のボーダーラインを下げてしまう事に通ずる この行為は
果たして、求められているニーズに合っている行為なのか
ボクは栽培モノの山菜をゴミ箱に放り込んで
ガンコにコダワリし尽くすことに決めた
あの、山々が産み出す「萌黄色」の中の恵みを...
山の春の香りいっぱいの恵みを...
ボクは旬の中で活かされてゆこう
そう決めた