Soul Food



醤油と青唐辛子・辛味噌の焼きおにぎり

ある日の 釣りの帰り道
定義如来山の土産物店街に並ぶ、おにぎり屋に寄る
ここのばぁちゃんには顔馴染みになってしまった

ばぁちゃん、おにぎり残ってるかい?
二個あっけ、最後だがらまげっかんな〜
うん。ありがと。

店をたたむ時間が早いので、ゆっくり釣りをしているとあり付けなくなる
でっかい味噌の焼きおにぎりで、田舎味噌を使っている

大倉川水系で釣りをした時は
このおにぎりと、定義山の名物 三角揚げをセットにし
見晴らしの良い場所で頬張るのが常であった




ある時、ちょっと遅くなってしまい
おにぎりが売り切れてしまっていた

ばぁちゃん、ハラ減っちまったんだけんど...
んだか〜、しゃぁねぇな、いま握ってやっから待っとれ
あ、ばぁちゃん、焼かなくてもええがらな
ばがこけ、焼がねど旨ぐねえべさ
オラ、生味噌塗ったぐってんのが好ぎなのっしゃ
ほぇ〜、変わったアンチャンだなや〜
んだば、ちょこっと待ってらいん

ばぁちゃんが持ってきた袋には、いつもより大きいおにぎりが2個入っていた
茄子と胡瓜の漬物も...

うほぉ!またでっけぇおにぎりだなや〜
なにすや、そんくれぇのマンマ喰わんでにっぽん人やってられねっちゃ!
喰え。ホレ、喰え。
して、魚っこ釣れだんが?
ん?うん。
んだが、喰え喰え。

その日は、ばぁちゃんの店先で、ばぁちゃんに見守られながら
でかいおにぎりに喰らいついた

うめぇ、うめぇとボクが喰うもんで
ばぁちゃんは おかわりのを握りに奥へ行ってしまった

ホレ、もいっこ喰え!
ばぁちゃん、も、喰えん
ばが言ってんな!にっぽん人がコメのおにぎり喰わんでなじょする!
そっただでっけぇナリして。喰え。
う、うん。

腹一杯の帰り道
ボクは にっぽんのソウルフードについて考え

今日の楽しかった釣りの後味
それに相乗する、満腹のもたらす睡魔と闘ったのであった。