海藤花



山に藤の花が咲くのが待ち遠しい
ヤマメが一番元気になる時期でもある

谿沿いに藤の花が咲き乱れ
ほのかな香りを風が漂わせてくれる

ボクは山菜を採るのも好きだが
渓流と山々に抱かれ
人の手を借りずに、逞しく育った
木々や花々が大好きである

晩秋の枯れ葉の絨毯も
真冬の白無垢も
春の萌黄な芽吹きも
新緑の中の桜ピンクも
ジンクリアな滔々とした流れも
薄っすらと苔をまとった沈み石も
すっとんきょうな顔した雌鹿も
精悍でいて俊敏な山女魚も
田舎童のような岩魚も...

その中に溶け込んでいる友人達の
真面目な顔、笑い顔も

みんな大好きで


あ、
今日は料理の話だった...




蛸の卵を、和食では

海藤花(かいとうげ)

と呼ぶ

まったりした味わいがする
ばらして酒塩に漬け込み
水分を切って、酒盗(しゅとう:鰹の内臓の塩辛)
と和えてみる


この手のアテは
ある程度肴を食べて、お腹が落ち着いた時のアテで
いわゆる、「珍味」類に属する

同じ酒を飲み続けるならば
純米の燗でも冷でも

ボクならば
地酒、三本木の
あたごのまつ
何ものをも邪魔せず、引き立てる
食中酒として、しぶく光る純米酒


昨日、この酒を造り出した方が来店してくれた

あまりにも忙しい日だったので
話をする事が出来なかったが
今度、じっくり話をしてみたい人物であった

なにしろ、近くにこんな美味い酒を造っている処があるのは
とても嬉しい

古川の浅勘酒造だったか、
「酔舞」と云う酒が好きだったが
潰れてしまった

孤立無援
断固として本物の酒を造って来たのだろうが...