あぶとたたかう









明け方の朝駆けも、
もうそろそろ終わりだ。

盛夏は海だ

9月のアタマから、また足繁くのである。



と、云うのも
あの虻のせいだ

身体中に纏わりついては、隙を見て刺し、吸血する
軽く叩いたくらいでは絶命せぬ...

掌と腿の間から
ポロリと川に落ち、ちょっと流されるも再生し
ぴゃぁ〜っと飛んでゆく

アブには情けはいらぬ
オノレごと思いっきり打たねばならぬのだ
打ち抜かねばならぬのだ


アヤツらは主に下半身を狙ってくる
濡れたウエィダーに黒くたむろしてスガル

アタマの回りを飛び交ってるヤツらに
だんだん苛立ってき、
腰回りのをバシバシ叩きシバク

いかんせん...

キリがないとはこのコトである

ナニかにとりつかれた様に自分の身体を叩き続ける
もう、
あまりの数の多さと、苛立ちと暑さで、精神に異常をキタス

能楽の鼓を打つような勢いで叩き落としていると


キュウショに誤爆...

もんどりうってる首筋などを噛まれる



もちろん
対抗策もある

一番なのは、その場で動かず

じっ

っとしているコトだ

するとアラ不思議
数匹だけ残して、何処かへと消えてゆく


しかし、だ。
動けばまた何処からともなく湧いてくる

シーブリーズにハッカ油をブレンドしたものを振りかけると
アブは刺さない

しかし、纏わりついてくる

どっちゃにしろ
ボクはその時期
渓流とはお別れなのだ