雨音


アウトドアで遊ぶ、という時に雨が降ると
大抵は中止や延期になる

濡れそぼりながら外で何かをするという行為は
濡れたり、衣服がまとわりついたり
憂鬱になったりと、鬱陶しいからだ

ボクらは雨の日釣りをした
もちろん晴れならば良かったのだけれども
一日中降っている雨の中で釣りをした

ダーダー降りやシトシト
霧雨や木の葉から落ちてくる大粒の塊を受けながら釣りをした

ボクの前で楽しげに釣りをしている友人の後ろ姿を
帽子やレインウエアーに当たっては弾く音を聞きながら見ていると
いつも聞こえてくる鳥の囀りより
新鮮な感覚の世界に浸り込む

ボクらは夜明けから釣りをし、午後を迎え
宴会を始める

時が経つほどに強くなってくる雨の中
焚火はいつもと同じように燃え、獲物を燻し
料理を作る手助けをしてくれる

タープを張り、雨の当たらぬ中 椅子とテーブルを並べ宴会をしようとしたのだが
誰一人中には入らない

雨の中 焚火を囲んでいつもの様にバカ話を交わす


ボクらにとってこの雨は
渇水気味の渓流に活気を与えるだけの良い雨だった

焼き上がり、喰い頃のラム肉に
おひょ〜!みてみぃ、この色
すばらしぃで
うひゃひゃひゃひゃ〜
とか
このでかいヤマメ、ちょうどヱヱ感じに焼き上がるのは
雨で蒸し焼きされてるからか?
うめぇ〜
うひゃらひゃら〜
などと云いつつ雨を受け入れている

思えば、雨の日も雪の日も宴会をし続けてきたけれど
いつも楽しかった

いつも同じメニューばっかりだけれど
それがまた良かったりもする
あん時の飴色ヤマメは脂が乗ってうまかたなー
とか
今日のイワナ飯は焦げ具合といい、一粒一粒の硬さと美味さがサイコーだ
とか...

そしてまたもや焚火はボクらの戯言を聞きながら
静かに消えゆく

天を仰げば大粒が落ちてきて
元気よくボクらのオデコで弾け散った