友の土



バッケ味噌を作る為に
蕗の薹を採りに行く

片道を40分かけ、車を走らせる

道すがら、土手や田圃の畦道にぽつぽつと顔を出しているのが
走りながらも目に留まる

しかし
そこには車を寄せず
無意識に、ひたすら山へと向かうのは
昨年 逝っちまった友の住んでいた土地まで行きたかったからであろう





無沙汰したな...




家族と、この土地と、この川を愛し
住み暮らした男がいた

自宅に引いた温泉と、木の湯船が自慢で

遊びに行くと、

先ず一っ風呂浴びろ

と云う男だった

初夏に 友の一周忌を迎える

彼の愛した土地に、川に手を合わせ...



今年もこの川で
溪魚を釣るコトとスル。


渓流を流るる清らかな水は
これからも清らかなままにある。




この地で採れたフキノトウは
バッケ味噌や天婦羅となり

ほろ苦くも、優しい土の味がした...