鋼(ハガネ)


角ばった、従来の鉈は置いておき
剣先の尖った、硬い鋼で重量感があるのを選ぶ

それでも絞り切れないのは
どれもかっちょヱヱから...

使い易さ
それは一般的に、第一条件なのだけれども
ボクの場合はちょっと違う
自分の使い道に合っていれば良い

大概の刃物は、ほんの数日使えば
手に馴染み、使いこなせるようになってしまうし
鍔(つば)などの安全設計もいらぬ
裸であっても、ごつくて丈夫、信頼できる素材と
腕の立つ職人が作り上げたもの。
それがボクの「かっちょヱヱ」なのである
特に刃物はそこに行きつく

最終的に手にしたのは
柄が荒削りのような風合いで
ブレードも
叩き上げのような荒々しさの
使用目的がハッキリしているが
使い手次第で 如何様にも能力を発揮する
そんな鉈


錆が浮いていた

刃を付ける為に研ぎを入れる



刃渡り 七寸五分、百八拾匁

新潟の鍛冶屋 高木作
鋼(はがね)は、青二

硬いから研ぐにも時間がかかるが
求めていた

一週間山に籠もり、研がずとも切れ味が落ちない

この条件に合う鉈である

新品の状態では、ほとんどの刃物は刃が付いていない
切れることは切れるのだが
ちゃんと刃を付けてやらないといけない
鉈 はなにも庖丁の様な切れ味は必要としないのだが
やはり鋭く研ぎを入れてしまう
刃物は
触れれば切れる
にしておかないと、気が済まぬのである
庖丁と鉈の違いは
刃が鋭角であるか鈍角であるかの違いだ
研ぐ幅が同じであっても
厚みで変わってくる

春に、雪解けの山で使おう

革製の鞘の中には、木製の鞘が仕込まれ
庖丁屋の親爺が別注で作らせたモノである

木を切り、藪を切り開き
大ヤマメや大イワナを刺す串を削り
薪を割り、焚き木を作る

黒丸と遭遇して使う事は避けたいが
準備はしておかねばならぬ

山に入る時は、必ず 腰に携えておこう

男の持ちモノが また一つ増えた