焚火宴会人がゆく・秋の読書編Ⅱ

今回は、現流域に来ているとはいえ、
ちょっとした傾斜のあるドテを登れば、そこに車がある。
ほとんどオートキャンプ である。

本を読みふけるのが目的だから
盛大に文明の利器を投入して読書の時間を多く取る事にした。

1ヵ月前の釣行の時にブットイ流木がそこにあるのを知っていたので
エンジンチェインソーがジムニーに積まれた。

先ずは丸太切りから。
太い所を2本テーブル用に背を高く切りそろえて
それより低いのをイスに。
テーブルとイスの中間の高さのものを、肘掛とサイドテーブル用に。
サイドテーブルには文庫本や、酒の入ったシュラカップを置く。

テントを張る。
2人だけだが、4人用の大きなのを張る。
リビングにタープを張り、
ふかふかの落ち葉が敷き詰められたフラットな、日当たりの良い場所にはツェルトが張られた。

ツェルトの下には、ボンボンベッドが設置され、
太陽光を柔らかくカットしてくれる。

何にせよ、飯は大事だ。
手抜きの簡単で旨い喰いもんを作り始める。
焚火を熾し、火が落ちついた所で、熾きに鍋をかける。
中身は大きく切ったたっぷりの野菜と
ブロックのままの豚バラ肉が入っている。
ある程度アクを取ったら、ロック式の蓋をして
コトコト煮込んでいく。

その間、ボンボンベッドに寝転び文庫本を読む。
心地良い秋風が、乾燥したのと、湿り気のある落ち葉を交互に揺らし、
思わず溜息の様な呼吸を誘発する。

渓流のせせらぎと、立ち枯れした巨木の風を受ける音
落ち葉の落ちる音と、擦れて転がる音。
静寂な中にあって、自然のボリュームは少しずつ大きくなったり、小さくなったりしながら、私の体全体に染み渡ってゆく。

中途で放り出していた文庫本を初めから思い出す様にして開く
仰向けになって、ツェルト越しの日の光を受け、読む。
この日はどうしても文庫本でなくてはならない。
片手で翳しながら読んだり、横向きになって読んだり
丸めてみたり、ケツのポッケに突っ込み、河原の石に移動し
足を清流に浸しながら、読み呆けるのは文庫本ならでは なのである。