焚火宴会人がゆく・秋の読書編Ⅴ

シュラフに包まり、蛍光灯のライトの下で眠気と戦いながら、活字に目を凝らしていると
テントを雨が叩きはじめた。
ブースカは不安そうだったが、私の揺るぎない姿勢にアキラメを感じ
雨音を楽しみ、感慨に耽る域に入っていった。

朝起きてみると昨夜の雨はさほど降らずに過ぎて行ったと
私より早く寝息を立てていたブースカが言った。

あまり物の朝食を済まし、
昨日に引き続き心地良い環境の中
テントの中の朝日を生地越しに受けて
ほとんど進んではいないページを進める。

いくら寝ても最適な環境というものは睡眠欲をもたらす。

私の場合、釣りに日帰りで行くと、約1週間の癒し効果がある。
このキャンプではかなりのロングスパンで効果があることに気付いた。
数年前の事なのに、いまだに思い出すとこの効果がジンワリと
手足の先まで染み渡ってくる。

シュラカップのウルトラマンは剥げかかってきてはいるが、
この思い出は断片的にこそ薄れてはいるが、
癒しの感覚だけは全て染み付いている。

今年も新たな癒しのシミを身体全体で感じ、上塗りする事にしよう。