焚火宴会人がゆく・シーカヤック編Ⅱ
ぼんくらボンボンが『ウィ~ッ』『おっぷっっ』やらの異音を発する
終いには『おえっぷ…えっおっっぷぅ』と…
そう、彼は船酔いという持病を持っていたが、
たかがカヌーと甘くみてしまったのだ!
箱メガネで下の一点を見つめていればそれは酔うでしょう
泣きそうな顔になりながらエライ速さでパドルをブンまわしはじめた
一刻も早く目的地であるプライベートビーチに辿りつきたいのであろう…
彼はもうひとつ持病を持っている。
イイ景色やイイ物を見ると、見つめ続け脳裏に刻むため、ニヤケながらしばし放心状態になる病だ。
あまりの美しさに二つの持病の事はすっかり頭から離れていたのだろう。
彼の脇腹には熊にでも引っかかれた様な深い傷跡がある。
これも放心状態に陥る病のせいだった。
綺麗でナイスなプロポーションのおねいさんをこの海に連れて来た時の事である
おねいさんが泳いで楽しんでいる時
オイラ達は取ってはいけない生き物を捕獲していた
ふと気がつくとぼんくらボンボンは
深場で浮き輪につかまり泳いでいたおねいさんの真下に滑り込んでいた。
大方の見当はついていたが、そばに行って水中を見ると
仰向けになって海底からゆっくりと、
そしてニヤケタ顔の口元からプポポポポッと、息を漏らしながら浮いてくるぼんくらボンボンがいた。
たしかに…この絵は…イイ!
男のロマンと言ってもイイだろう
そのイイ絵を岩礁の上に体育座りをして脳裏に焼き付けていた時であったのだろう
普段は穏やかな波が高波となって彼を岩礁から叩き落したのである。
波に揉まれ彼の脇腹には…
ただのアホでした。